王様と私のただならぬ関係
彫像がどす黒くなっています




「おはようごさいまーす」

 翌朝、受付に行った明日香は、
「おはよう」
と挨拶を返してくる静の手にあるものを見て、あれ? と思った。

 ハートマークのついたピンク色のペンケースだ。

「あ、それ、結婚情報誌の付録ですよね」
と言うと、

「明日香ちゃんも買ってるの? あの雑誌」
と笑顔で訊かれる。

「たまにですけどね。
 毎号、付録が好きでチェックしてるんです」
と言うと、静が、ん? という顔をしたあとで、

「……中身読んでる?」
と訊いてきたので、笑顔で、いえ、と言って、

「結婚するのよね? 葉月さんと」
と確認するように言われた。

 困った。

 どうしよう、と思ったが、此処で嘘をつくのもどうかと思い、結局、一からやり直すことにしたことを白状してしまった。

 すると、
「ええーっ。
 なにやってんのっ、駄目じゃないっ」
と何故か静は怒り出す。
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