婚約指環は手錠の代わり!?
エピローグ 課長……ではダメですか?
「うまくいったんだ」

お昼休み。
トレイを持つ、私の左手の指環に気づいた新橋さんがふふふっと笑った。

「……おかげさまで」

今日は海瀬課長、外回りに出てたから、新橋さんと高見さんと三人。

「うまくいったってなんですか?
今朝から芹口さんの指環と、気持ち悪いくらいに上機嫌な海瀬課長は気になってますけど」

トレイを置いて座る高見さんに、思わず新橋さんと顔を見合わせてしまう。

「高見くんはそんなんだからダメなの。
ねえ、芹口さん?」

「そうですね」

くすくす笑ってる私たちに高見さんはきょとんとしているが、いままですぐ近くで見ていたのにこれはないだろう。

「芹口さん、海瀬くんにプロポーズされたのよ」

「えっ、マジですか!?」

高見さんの大きな声に、食堂中の視線が集まった。
恥ずかしくて俯いた視界の端には、涼太の姿。
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