夜中のラーメン
夜中のラーメン
「……おなか、すいた」

読んでいた本をぱたんと閉じる。
すると、少し離れたところで本を読んでた彼が顔を上げた。

「ん?」

どうした?

とでもいうように、彼の首が少し傾く。
眼鏡の向こう、少し眩しそうに細められた目。

「コンビニでも行く?」

「……めんどう」

時計はすでに、夜の十一時を回ってる。
いまさら、外に出るのは面倒。

「んー」

「……おなか、すいた」

同じことを繰り返したら、はぁーっ、彼の口から大きなため息が落ちた。

「インスタントラーメンあったと思う。
それでいい?」

「うん」

立ち上がった彼の手が、ぽんぽんと私のあたまにふれる。
そのままキッチンに行くと彼は、ごそごそと棚を漁り始めた。
ソファーの背から顔を出して、ぼーっと作業してる彼を眺める。

棚からインスタントラーメンを探し出した彼は、冷蔵庫から卵とお肉のパックを出した。
それから、玉葱とキャベツとモヤシ、それにエノキ。

んん?
インスタントラーメンじゃなかったんですか?
 
腕捲りをすると彼は、じゃーっ、小鍋に水を入れるとチチチッ、ボッ。
火をつけて鍋をかけた。

今度はボールを取り出すと、お酒やお醤油なんか調味料。
んで、お肉のパック開けてごそごそやったら、ピ、ピ、ピ。
レンジに入れちゃいました。

卵を手に取ると、お湯が沸いてるであろうお鍋に投入。

ゆで卵ですかね。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop