【短編】泣き顔記念日
泣き顔記念日


────────



『遅くなりそう(汗)

先に帰ってて(ごめん)』


七瀬からそんなメッセージが来たのは、放課後、誰もいなくなった教室で、委員会の仕事をしてる七瀬を待ってる時だった。



僕が唯一、七瀬と2人で過ごせる登下校の時間。


その1日の1つが今日欠ける。


『分かった。気をつけて帰って』



僕たちは幼なじみでそれ以上でもそれ以下でもない。



帰ってと言われたら帰るし、「いや、待ってるよ」なんて彼氏みたいなことは言えない。



僕は、七瀬と帰れなくなったことに肩を落としながら教室を後にした。





< 11 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop