東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
水浸しのキス
翌日は副社長と水族館デートである。

「あーっ、どうしよう…」

クローゼットやタンスからあれだこれだと洋服を引っ張り出しては床に放り投げながら私は呟いた。

洋服は数があると言うほどではないけれど、明日は何を着て行けばいいのかよくわからない。

ここ最近は洋服を買う機会がなかったなあ…と、今は後悔をしている場合ではない。

「んーっ、これでいいか」

あちこちに散らばっている洋服の中から選んだのは、星柄がプリントされた白の半袖ブラウスに黒のガウチョパンツだった。

歩くことになるんだから、スカートよりもズボンの方がいいよね。

靴はスニーカーを履くことにしようと思いながら、散らかしてしまった洋服を畳んでクローゼットとタンスに片づけた。

「あっ、もうこんな時間だ」

壁の時計に視線を向けると、後少しで日づけが変わろうとしていた。

明日は休みとは言え、予定はあるのだ。

電気を消すと、すぐにふとんに入ったのだった。
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