170回、好きだと言ったら。
○テルくんは寝起きが最悪です


電話をかけて、3コール目。

テルくんが出ません。

どうしよう、お寝坊さんになるのかなと思っていたら。プツン、と繋がる。


「あ、テ」

《……実衣、うるさい。キライ》


―プツン、あっけなく通話が途切れる。

怒りでわなわなと震えながら、もう一度。


―プルル……プツン、


「あ、」

《実衣、キライ》

「て、テルくん!
もう起きてるんでしょ!?
あたし先に学校行くからねっ」


こっちから通話を切ると、靴を履いて家を飛び出そうとした。


「…お兄ちゃん、行ってきますっ!」


靴箱の上に置かれた写真立てに向かって言うと、今度こそ家を後にした。

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