先生、僕を誘拐してください。


何それ。
でも好きな人がいると言ってたけど未来ちゃんなのか。
バスケ部の軽薄そうな部長と、真面目で優等生でおとなしい未来ちゃん。
まるで少女漫画みたいな組み合わせだ。

「で、朝倉くんの話、どうするの?」

奏は誰にも言わず悩んでいたのに、私は一人で抱えて味がしないご飯を飲むこむのに限界が来てしまい、真由に打ち明けてしまった。

「近づくなって殴ってあげようか?」

真由に言われたら本当に殴ってしまいそうで焦る。
むこうは元生徒会長で、人望もあり性格も温厚。

誰が信じてくれるんだろう。

「直接会って話そうか。あの人、今日三者面談だよ」

「そうなの?」

「そ。だから先生たち急いで採点したんだよ。三者面談でもう一度朝倉くんのの成績で受験を親に進めるんでしょ。まあ、彼ならどこでも受かるだろうけど」

イラストの専門学校に行くと言っていたからどうなるかわからないけど、彼も一応は大変な時なのか。

「どうする?」
「まあ逃げてたら、私はご飯をおいしくいただけないから言う」

「ついていこうか? ボディガードぐらいにはなるよ」

「大丈夫だよ。でもーー」

奏には黙っててね。

そういうと、苦笑された。

「蒼人にはいいの?」

「ああ、ダメかな」

先に蒼人が浮かんでしまったのは自分でも笑ってしまった。
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