先生、僕を誘拐してください。
五、潜伏期間



 私の高校最後の夏は、バイトと夏期講習で潰れることになった。

大学に行きたいこと、ピアノが生かせる職業に就きたいこと、そしてバイトも続けたいこと、塾には行きたくないこと、大学は公立か学費が全部免除になるようにしたいこと。

子どもの我儘かと思われたけど、敦美先生に全部伝えた。

バイトは日数を減らされるけど、続けていいらしい。
敦美先生は、ピアノが生かせるなら公立の幼稚園教授を進めてくれた。公務員ならば私の希望通り安定した給料がもらえるらしい。

音楽の道に進むには、大学の学費とか高額だったし就職も狭き門だし、一番は私のやる気が感じられないからと反対されてしまったために諦めた。

私は自由気ままに好きな曲を好きなように弾ければいいだけだから。

私が進むのは地元の公立の大学の教育学科か滑り止めで私立の大学。
小学校の教員免許と幼稚園教授の資格を手に入れられる初等教育学科だ。
私立の大学は推薦入試があり、それに合格すれば授業料全額免除らしい。
私はそちらに向けて対策中。

夏休みは、海に浮かぶ入道雲なんて見れないまま教室の窓から見える夏と、机の上の入試対策の勉強で終わりそうだった。


学校では、学際に浮かれた1、2年生の準備する声とバスケ部のやる気のない部活の練習声が聞こえてきて力が抜ける時もあったけど問題ない。


たまにある合唱部の練習と、家で奏には会えるのだから。


あと、窓辺で。
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