溺愛CEOといきなり新婚生活!?
【特別番外編】俺のワガママを聞いて

 彼女に永遠の愛を誓って、あと少しで一ヶ月が経つ。

 新居にも少しずつ慣れてきて、花澄もタワーマンションよりは気楽そうだ。
 元から住んでいた部屋もサンプリングマリッジの部屋も、どれも自分の所有。だけど、いくつも自宅を抱えていても無駄だから、分譲賃貸にでも出そうかと考えている。

 サンプリングマリッジをしたあの部屋だけは、俺と花澄の思い出が詰まっているから、誰にも貸すつもりはないけれど。



「本日の来客は以上となります」
「ありがとう。九条も今日は早めに帰って構わないよ」
「……社長をお送りしなくてはなりませんが、何時くらいにお出になられますか?」
「今日はいいよ。いつでも上がっていいから、たまにはゆっくりして」

 花澄に言われてから、九条の自由時間をなるべく設けるようにしているつもり。
 不要な残業はなかったけれど、確かに遅くなる日が少なくはなかった気がするからだ。


 彼女に言われて気づくなんて、CEO失格?
 そんなことを言っているのは、どなたですか?

 ――愛する彼女の言うことも、俺の言うことも全部叶えるのが、俺のやり方なのであしからず。


< 354 / 378 >

この作品をシェア

pagetop