カノジョの彼の、冷めたキス

誓いのキス




ソファーの上でクッションと一緒に膝を抱えて座りながら、ダイニングテーブルでパソコンを見つめる渡瀬くんをちらりと振り返る。

早く帰宅したものの、明日までに片付けないといけない仕事を数件持ち帰ってきた渡瀬くんは、ご飯を食べてあたしがシャワーを借りたあともずっと仕事を続けていた。


コーヒーを淹れてテーブルに置いたら、

「テレビでも見て待ってて」

と言われたけど……

どのチャンネルに合わせても、全然内容が頭に入らない。

仕方なく、渡瀬くんの仕事の邪魔にならないよう音量を小さくして、夜のニュース番組をぼんやりと眺める。

1時間のニュース番組が終わる頃になって、ようやく渡瀬くんがノートパソコンを閉じる気配がした。

ニュースよりも背後の渡瀬くんの気配に意識を集中させていたあたしは、パタンという音が聞こえると同時に彼を振り返る。

待ち構えていたように振り向いたあたしと目が合うと、渡瀬くんが吹き出した。

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