カノジョの彼の、冷めたキス


「変なやつ」

からかうように笑うくせに、あたしの目元に、頬にまだ優しく触れたままでいる渡瀬くんの指先の温度に、胸がぎゅっと締め付けられる。


ダメだよ、渡瀬くん。

そんな簡単に期待させるようなことしたら。

ただの『お礼』だなんて。そんなふうに思えなくなる。



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