カノジョの彼の、冷めたキス

あたしも渡瀬くんも営業部に所属しているけど、普段の仕事で一緒になることはほとんどない。

主に資料作成や電話の取次など営業の補佐をしているあたしは、基本的には隣に座っている先輩とコンビを組んでいて、渡瀬くんにも同じように仕事を補佐するパートナーがいる。


「高垣さんが一緒に行くんじゃないの?」

ちなみに、渡瀬くんとコンビを組んでいるのは高垣さんというあたしのふたつ上の女性社員だ。


「普通はそうなんだけどな。高垣さんのとこ、まだ小さいお子さんいるだろ?展示会のあたりはご主人も仕事が忙しくて、泊まりでの仕事は避けたいらしい」

「で、どうしてあたしが……」

渡瀬くんと一緒に出張に行くパートナーに抜擢されたのか……

考え込むように眉を寄せたら、渡瀬くんがふっと口角を引き上げた。


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