ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
プロローグ
偶然なのか、わざとなのかわからない…
時々、今のようにテーブルの下で触れる足に驚いて足を引く。
(あっ、まただ…)
向かいの席に座る当の本人は涼しい顔をして、私の彼氏である浜田さんと楽しく会話中。
服越しでも伝わる感触にドキドキせずにいられない。
彼が、こちらをチラッと見て微笑むと同時に、足首から上に向かって撫で上げる感触にぞくっと身を震わせてしまう。
口元に笑みを浮かべながら
「美姫ちゃん、寒い?」
気遣いをみせながら、テーブルの下では靴を脱いだ足先で遠慮なくストッキングを履いた足をゆっくりと官能的に撫でていく。
「美姫、そろそろ帰るか?」
浜田さんの気遣いに申し訳なく思いながら、コクンと頷いた。
「俺、タクシー止めてくるから美姫を頼む」
店を出てから浜田さんが私の為にタクシーを止めに大通りに出ていき、彼との距離に息苦しくて浜田さんを追いかけて歩こうとした時、ふいに手を引かれ引き戻された場所は、男の腕の中だった。
「…離して」
「そんな顔で拒絶しても意味ないってわかれよ」
そう言ったと同時に顎を固定され、ねっとりと唇を喰んで熱を残していく。
< 1 / 119 >