ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
彼氏の同期

彼氏の浜田さんと約1か月ぶりぐらいのデートに、ウキウキした足取りで待ち合わせのお店、《コンフォルト》に向かっていた。


浜田さんは、私が勤める会社の取り引き先の男性だった。


希望していた部署とは違う受付に立たされた私は、毎日、訪問する取り引き先相手にてんてこ舞いだった。


不満を抱えながらも、企画課に異動する夢を見て頑張っていたが、取り引き先相手が全て腰の低いいい人ではない。


傲慢な態度で受付に来て、呼び出しをかける人。


セクハラ紛いな言動をする人。


怒鳴り散らす人。


いろいろいる。


そんな人達相手に平静を装い、対応していかなければならない。


何度、辞めてしまおうかと思ったことか…


浜田さんは、前者の取り引き先相手とは違い、いつも笑顔で気遣いを見せてくれる男性だった。


『お疲れ様です。ご記入お願いします』


『お疲れ様です。有村さん疲れた顔してますね。…この用紙確認お願いします』


突如、カウンターの上にそっと差し出した封筒を開けると、スパの割引券が入っていた。


通常、受付では何も頂かないという決まりがある。

『あの…』


いただけませんと言う前に
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