ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

あなたしかいない

「美姫は…彼女は今どこに？」


「知ってどうするつもりだ？」


「会うさ…確かめないと」


「何を確かめるの？子供の父親を確かめるの？産むかどうかを確かめるの？美姫は、あなたに知らせるつもりなんてなかった。それが、答えなのに…」


浜田に肩を抱きしめられながら、美姫の友人だと言う女が俺を睨んでいる。


「聞いてしまった以上、放っておけない」


聞かなかった事になんてできるはずがない。


彼女のお腹に俺の子がいるのなら…尚更、会わなければいけない。


「それだけか⁈僕がどうして美姫の気持ちを無視してお前に教えたかわかってないんだな」


「父親が俺だからだろう？」


「そうだ…だけど、それだけじゃない。お前の美姫に対する気持ちが大事なんだ。１人で産むと決めた以上、お前がなんと言っても産むだろう。おろせと言うつもりなら会うな。お前にとって、ただの遊びだったとしても、美姫にとって…子どもを産もうと決意するぐらいお前を愛してるんだ」


「俺を愛してるって言うのか？」


「そうじゃないなら、子どもを産む理由はなんだ？」


美姫が？


そんなそぶりなんて見せなかった。


「峯岸、お前は美姫を愛してないのか？」