気づいてくれる?
2
「お疲れ様~」

その日の業務が終わり、ロッカーで着替える。
松浦さんの診察で汗をかいてしまった私のマスク下は、とても見れたものじゃない。
メイク直しをしていると、受付の美咲ちゃんが話しかけてきた。

「あれー?麻央さん、今日どこかお出かけですか?もしかしてデート?」

私より一年後に入った美咲ちゃんは大きな目を輝かせて私に詰め寄った。
いつもより念入りにメイク直しをしている私を勘繰ったのだろう。


「デートなわけないじゃん。相手いないの知ってるでしょ。悲しくなるからやめて」

私はジロリと横目で睨むと、美咲ちゃんは肩をつぼめて笑う。
私より一年後に入った美咲ちゃんは、かわいい妹分だ。

「麻央さん、かわいいのに~もったいないなぁ。あっ!そうだ、今日、麻央さんが担当した患者さん、松浦さんでしたっけ?カッコよかったですよね~」

急に松浦さんの名前が出され、また胸がドキンとしたけれど、

「カッコよかったね?久々ときめいちゃったよ」


何でもないように、冗談に聞こえるように、イタズラな顔で答えた。

「ですよね~。でも治癒だから、次は半年後なんですよ~。カリエスとかあったらよかったのになぁ」

「こらこら~そうゆうこと言わない!問題発言だよ」

美咲ちゃんを咎めながら私は気づいた。
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