瀬名先輩は王子様
再びの急接近


ということで、片想い歴一年。


今度はコンビニで、瀬名先輩と急接近したのだ。予想もしなかった展開になり、焦る。ゆるっとしたジーンズにTシャツ。もっとお洒落してくればよかった。髪も可愛いヘアクリップで束ねてくればよかった。


私の後悔の先で、コーンスナックの袋を持っている瀬名先輩。それさえも絵になる。CMに起用されそう。


「これ、俺のだから」


「はい。もちろんです」


私はどんなに食べたくても、このコーンスナックを瀬名先輩から奪おうなんて思っていない。


だけど、ちょっとは食べたい…、ような気もする。ような、ではなく食べたい。でもここは我慢すべき。


「おい、突っ立ってないで、一緒に来いよ」


「えっ、ど、どこへ?」


会計を終えた瀬名先輩の後を追った。


その背中でさえもかっこよくて、目の前がピンク色に染まり、クラクラしていた。

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