Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
第八章 君が名前を呼んでくれる度に、俺は
近くのインターから高速に乗ると、連休の帰省ラッシュの影響もあり渋滞していた。
なかなか進まない車の列に組み込まれ、アクセルとブレーキを交互に繰り返す。小刻みな前後の揺れが疲労を蓄積させる。

途中、休憩に入ったサービスエリアで、陣さんがコーヒーを買ってきてくれた。
ミルクと砂糖が多めのカフェラテを飲んでいたら、なんだか気が緩んでしまい、次第にうつらうつらし始めた。


「着いたぞ」

声をかけられてハッと目を覚ました。
どうやら深く寝入ってしまっていたらしい、そこは見たこともない地下駐車場だった。

「ここは……?」

状況が飲み込めず、その上寝起きでぼんやりとする私を、陣さんは「いいから着いてこい」と雑に言い包めて車から降ろした。
慌てて彼に着いて行くと、どうやらそこはホテルのようだった。
御堂さん御用達のホテルには及ばないが、そこそこ大きくて立派な宿泊施設。

「陣さん、いったいどこへ――」

「ここで夕緋が待ってる」

「え!?」

思わず大声を上げたら、面倒くさそうに睨まれた。

だって。ついさっき別れたばかりの御堂さんが、どうしてこんなところで……?

その言葉を疑いながらも、期待している自分がいる。
なんとなく、もう二度と会えないかもしれないと思っていたから。

それともまさか、お別れを言うために私をこの場所へ呼んだのだろうか。
どちらかというと可能性が高いのはそちらのほうだ。
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