あずゆづ。
譲りません
「お、おはようゆうちゃん!!」
次の日の朝、教室にて。
相変わらず女子に囲まれているゆうちゃんに
勇気を出して話しかけた。
……気合いが入りすぎて、思った以上に声が大きくなってしまったけど、気にしない。
「うん。おはよう、梓ちゃん」
それに対し、ゆうちゃんはにこりと笑って返してくれた。
あんなに声が大きかったはずなのに、びっくりすることも耳を塞ぐこともしない。
相変わらず、優しいなあ。
「あの、ゆうちゃん……」
「?」
「今、お時間よろしいでしょうか!!!」
こんなの、まるで道場破りだ。
朝から堂々とゆうちゃんにこんなことを言うものだから、周りの女子の視線がもう痛い。
「……うん、いいよ」
何かを察したように、ゆうちゃんは微笑んだ。
……実を言うと、まだなんて言おうかまとまっていない。
また私が一人で勝手に暴走して、話になんてならないかもしれない。
だけど、大丈夫。
私は、教室の入り口の方を見た。
そこには、だるそうに壁によりかかって岡本さんたちと話をしているゆづくんの姿が。