王太子殿下は無垢な令嬢を甘く奪う
幸せへのあと一歩
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 誰も居ない廊下に出ると、ウィルは不意打ちとばかりにマリーに軽く口づけを落とした。

 顔を真っ赤にして恨めし気な眼差しを向けるマリーに、悪戯な微笑みが返ってくる。

 いつのまにウィルはこんなことをするようなったのか。

 マリーはさっきウィルからもらった台詞をそのまま返したくなった。

 まだつい最近までは博識な親しみのある兄のような存在だったのに。

 あのとき、初めて家族以外からの愛の言葉をもらってから、その存在は大きく変化した。

 あの言葉に導かれるように自覚した彼への気持ち。

 ウィルから気持ちを伝えられたから好きなったわけではない。

 初めて会ったときからずっと変わらない温かな気持ちに、“恋”という名前をもらったのだ。

 ウィルのことが好きだと思うだけで、見上げるサファイアの瞳がマリーのそれ以上にも思える愛を注いでくれる。

 ぐっと肩を抱き寄せられると、ウィルはまた睫を伏せながら顔を傾け迫ってきた。
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