いじめっ子には愛の鉄槌を
8. いじめっ子は甘い味
次の日、オフィスに行くと、案の定赤木さんがご機嫌だった。
新沢咲良との契約更新にこぎ着けたのだろう。
それを自分の手柄と言わんばかりに、
「大変だった。
でも、これで『SAKURA』シリーズも安泰だ」
なんて言い回っていた。
挙げ句の果てにあたしの席にきて、
「藤井さん。
藤井さんも僕を見習って、役に立つ仕事をしてくれたまえ」
なんて言い出す始末。
そんな赤木さんに、本当のことを吐いてやろうかと思ったほどだ。
だけど、あたしが新沢咲良の娘だと分かったら、コネ入社という噂がつき回る。
もちろん、あたしは思うままに試験を受け、コネなんて使っていないのだが。
だからぐっと口を閉じた。