いじめっ子には愛の鉄槌を
1. いじめっ子は同居人
「……え!?」
新居の扉を開けた瞬間、固まった。
ひとり暮らしを始めるあたしには、もちろん同居人なんているわけがない。
開けた部屋には家具なんてまだなくて、殺風景なフローリングが続いていると思っていた。
だが……玄関には白いスニーカーと茶色の革靴がきちんと置いてあって、部屋の奥からは明かりが漏れている。
その明かりに照らされて、何かが揺れた気がした。
どうなってるの?
ここ、あたしの家だよね。
何回も扉を閉め、鍵を閉めたり開けたりする。
その度に鍵はかちゃりかちゃりと音を立て、部屋が間違っていないことを示してくる。
そんなあたしが立てたうるさい音に反応して、中の人物がリビングの扉を開けた。