クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
結婚式
 アンテス城に戻った私に待っていたのは、療養生活だった

 予定していた婚約発表のパーティは、複数の事情から中止になった。

 特にやることのなくなった私とは対照的に、リュシオンはとても忙しそうだ。

 バラークとの対立、サウル王子の事件の後始末。

 私に出来る事は、栄養のあるものを差し入れするくらいだったけれど、会いに行くとリュシオンは必ず歓迎してくれた。

 そうやって過ごしている内に、あっと言う間に半年が過ぎた。

 バラークとは大きな戦になることなく、国境から追い返すことが出来たそうで、しばらくは安心して良いとのこと。

 サウル王子の件も調査が終わり、全ての沙汰が降りた。

 他国の王族であるサウル王子は、シハレフでその身を裁かれると言う事で、国へ送り返していたのだけれど、正式に王位継承権の剥奪。その身の幽閉が決まったそうだ。

 ベルツ家は今回の責任を取り、その地位は降格。

 今の領地はリュシオンの実家カイザー家が治める事になり、ベルツはその一家臣の地位になる。

 ヘルマンは三年程ベルツには戻れず、アンテス城で罪を償う為に働きながら指導を受けるのだそう。

 そしてカサンドラは、修道院に強制的に送られることになった。

 カサンドラはリュシオンを憎みながらも愛していたのだろうか。
 歩けるようになった事を隠してまで、リュシオンに罪の意識を持たせ続けようとしたくらいだ。

 彼女の本当の気持ちは分からないけれど、その強い執着が身を滅ぼしてしまったと思うと切なくなった。

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