クールな公爵様のゆゆしき恋情 外伝 ~騎士団長の純愛婚~
敵国と友好国
 アトレゼへの外出から半月が経った。リュシオンとの関係はとても上手くいっている。

 リュシオンは相変わらず忙しくて、なかなかゆっくり会えないけれど、お互いの距離が縮まった気がする。

 リュシオンの敬語はそのままだけれど、グレーテと呼ぶ事には慣れてくれたようで、アトレゼから戻ってからもそのままの呼び方にして貰っている。

 時々他の騎士達の邪魔にならないようにリュシオンの訓練を見学して、休憩時間を待つ事も習慣のようになっていた。




「大丈夫?」

 そう言いながら私は用意していた冷たい水を差し出した。
 今日の訓練は相当激しかったのか、珍しくリュシオンが息を切らしているのだ。

「ありがとうございます」

 リュシオンは水を受け取ると一気に飲み干す。これも珍しい。普段は訓練後だろうが行儀よく落ち着いて飲むのに。

 周囲を見渡すとリュシオンはましな方だと分かった。他の騎士達は力尽きたのか、訓練場で大の字に伸びている。

「……ずいぶんと厳しい訓練なのね」
「レオンハルト様からの命令です。しばらくは特に気を引き締めて訓練に励むようにと」
「お兄様が?」

 一体何を考えて、こんな地獄のような訓練を命令したのだろう。

 首を傾げるとリュシオンは少し躊躇いながら、声を潜めて言った。
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