捨てられた町
昔の記憶
走って走ってようやく山を下りてきた時、僕はやっと振り向いた。


そこには大きくて暗い山がそびえたっているだけで、マヤの姿も蛇の姿も見えなかった。


「勝手に出歩くな。危ないだろ」


僕の前を飛び跳ねて移動しながらカエルが言った。


その声は完全に怒らせてしまっている。


「ごめん……」


「あの山に入って何をするつもりだったんだ?」


「夢の出口を探そうと思ったんだ」


素直にそう答えると、カエルは立ち止まって振り向いた。


その顔はとても驚いた表情を浮かべている。


「ルキ。お前はまだ夢だと思ってるのか?」


「だって、そうだろ? じゃないと説明がつかない事ばかりが起こってる」
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