Distance
君との距離、一里も千里。
「__それでね、今回のテストはちょっと難しかったのかなぁ。解答率が悪かったから生徒たちから難しかったってクレームが来ちゃって。ま、僕が悪かったかな、へへ。あ、数字が入ってる四字熟語とかことわざって他にもたくさんあってね、例えば僕がすごく気に入ってるひとつに、“惚れて通えば千里も一里”、っていうことわざがあるんだけど__…」


…惚れて通えば千里も一里?

つまり、もう好きになっちゃえば、距離なんて関係ない!心で繋がってる。愛は地球を救…じゃなくて、愛は国境を越える?っていう感じかな?

ま、そんな私たちのは今現在、物理的な距離は無いんだけどね。

居酒屋デートからの帰り道。
夜空には星がちらほら。

さっきから継ぎ目なく、ずーっと喋りっぱなしの塾の国語講師、村越さんって優しくて、穏やかで朗らかでとてもいい人なんだけど、ちょっと胴回りがこう、ずん!としていて。
隣を歩いてると、自然と横っ腹が触れ合っちゃうのだ。

ディスってる訳じゃない。
一ヶ月前、学生時代の友達が催した合コンで一目見たときから、私は“この人だ!”と確信した。

いや、むしろこの人しかいない。
この人こそ、私が求めていた人だ、と。


「__でね、なにが言いたいかと言うと、ちょっと回りくどかったかな?もしそうだったとしたら僕が悪いんだけど、つまりね、」


…待てよ。
えっと、このデートって三回目?
だったら今日あたり、キスとかしちゃうのかなぁ。
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