御曹司と溺愛付き!?ハラハラ同居
王子さまの動揺
それから一カ月があっという間に過ぎた。

家政婦から恋人に昇格したあとの淳也さんとの同居は、ドキドキハラハラすることばかり。

だって、彼は会社でのクールな姿からは想像がつかないくらい甘く、いつも私に触れていたがり、不意打ちのキスなんて日常茶飯事だったからだ。
だけど、愛されていると感じられて幸せだった。

それなのに……。


「淳也」


給湯室でコーヒーを淹れていると、淳也さんの名前を呼ぶ女性の声が廊下から聞こえて来て手が止まる。
桑田さんだ。


「仕事中だ」


淳也さんがたしなめてくれたのでホッとした。


「はー、相変わらずね。ねぇ、今日、ちょっと夕食付き合って」

「悪いが……」

「付き合って」


桑田さんの声色が突然変わった。
そして、有無を言わせぬような言い方をする。


「わかった」


えっ……承諾、したの?
桑田さんに恋愛感情はないと言い切った彼が、個人的な付き合いに付き合う必要なんてないでしょう?
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