[実話]16歳〜私の生きた道〜
父親の死
無事に試験も合格し、入学式を迎えた日。
私は父親と呼ばれる人のいる場所へと向かった。
正直、本当の父親か偽物の父親か分からない。
ホスピスのある病院にいると聞いたから、きっともう長くはないのだと私は思った。

病院に着き、受付を済ませて静かな病院内を歩く。
消毒液の匂いと静かさは、私の神経をピリピリと刺激する。
その人は眠っていたみたいで、私を見ると少し驚いたように目を開けて、
「よく来たね」
とほほえんだ。
見た目は元気そうで、私はこれまでのことを話した。
母親とは不仲だけれど、昔のように暴力をふるうことが少なくなったこと。
一度高校に入学したけれど馴染めないあげくに同級生に暴力をふるって中退したこと。
そして今は夜間高校に入学して、次こそはちゃんと卒業したいことなど。
父親は、それをニコニコと聞いていた。
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