先生、もっと抱きしめて
先生の手
「なんか、オレじゃないみたい」

くねくねした山道を進みながら、先生が言う。

「生徒とこんなとこ来るなんて、絶対しないはずなのに、浮かれてるのかも」

「浮かれてるの?」

「……ああ。誰かがそそのかすからな~」

先生はいたずらっぽく微笑みながら、車は夜景を目指して進む。

誰かって、私?

「なんできょとんとしてんの。あなたのことだよ」

「えへへ、私……ですか」

浮かれてるって、どういう意味……?
先生は、やっぱり私よりずっと大人だから、私には難しい……。


男子には、友達扱いされてる先生。
女子にも……同じようなものか。

それでも、たまにはマツタクファンも見かける。
真剣片思いは見当たらないけど、たぶん今までもちょこちょこいたはずだ。

その間にも、先生はピアノの彼女さんと同棲してたんだなぁ……。
私が、ヒロトに片思いして、つきあえて、1ヶ月で別れてる間も、その彼女さんと……。

もっと前から、知りたかった。
先生のこと。
< 37 / 55 >

この作品をシェア

pagetop