狼社長の溺愛から逃げられません!
 


『ルイーズ』の試写会イベントは大成功だった。

話題のイケメン社長が雑誌の読者限定試写会でダンスを披露、なんてネットニュースで取り上げられ、SNSでも話題になっていた。

社長と踊る私の写真も載っていて少し恥ずかしいけど、こうやって話題になるのはありがたい。

「有川さん、『ルイーズ』かなり好調みたいだな」

保元部長にそう声をかけられ大きくうなずく。

「前売りの動きもいいみたいです。これで女性誌の試写会イベントの記事が載った号が発売されれば、もっと勢いがつくと思います」
「公開まであと一踏ん張り、頑張れよ」
「はいっ!」

イベントをやりとげた達成感と、まだまだこれからだという使命感に背筋が伸びる。

『ルイーズ』を、ひとりでも多くの人に見てもらえるように頑張ろう。
そう思いながら、視線がちらりと社長室のドアへ向いてしまう。

開かれることのない、重厚なドア。今、その部屋の主は不在だった。

 

< 158 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop