となりの弱虫ヒーロー【短編】

▷ヒーロー

はずだったのに。


「みさきっ!大丈夫か⁉︎」


君から突き放したくせに、どうして、こんな時だけ助けてくれるの。


顔を殴られることはなくて、その代わり温かいぬくもりに包まれた私は、顔を見なくてもこのぬくもりは君のものだと気づいた。


「り、律君⁉︎なんで…⁉︎」


ギャル達は、赤かった顔を真っ青にして、とび退いた。


なんてったって、君は、律は、私たちの通う高校のアイドルのような存在なのだ。


ギャル達が驚くのも無理はない。


私は呆然として、律の行動を見守る事しかできない。


「次みさきにこんな事したら、女でも容赦しないから」


律は、私を抱きしめたまま言う。


「なんで、そんな奴のこと…」


悠馬の彼女は、私たちの関係を知らないからか、納得できないように喚いた。
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