熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「あんなに大事に愛されてたのに、その上恋もなんて。アヤノは贅沢よ。少しくらい痛い目見ればいい。バチが当たればいい。でも神様でさえあなたを甘やかすから、私が代わりに下してやったのよ」

「……マリーさん」

「ママゴトみたいな恋遊びは早く終わらせて、さっさとユヅキの物になってあげなさい」


マリーさんは小さな声で素っ気なく言って、私から背けるように顔を窓の方に向けた。
彼女の言葉が、私の胸にグッと沁み入っていく。


身体とか見た目とか年齢といった、わかりやすい物だけじゃない。
疑いようもないくらい、私は子供だ。


狭い鳥籠の世界に疑問も抱かず満足していた私が、いきなり大空を知ったからって、まだまだ全然高く飛べない。羽ばたけない。


広い広い空は、見たくない物も知りたくないことも、全部容赦なく私に教えてくれた。
今まで優月に守られるだけで、見ずに知らずに済んでいたことばかりだ。


真綿の中で守られるのが当たり前で、慣れてしまったままの私じゃいけない。
空を知ることを望んだのは私。
だから全部受け止めて、乗り越えていく。


その為に、私は翼に力をつけないと。
自分の翼で、飛び立たないと。


その手段は私の中に、まだぼんやりとしか浮かんでくれない。
< 203 / 255 >

この作品をシェア

pagetop