熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「越川さん。君のコメントって……何をどう発表するつもりだ?」


広報部長が私にどこか警戒したような視線を向けてくる。
私は一度俯いてから、再び大きく顔を上げた。


「今、皆さんに申し上げたこと、すべてです。私はこの騒動の全責任を取って、穂積コーポレーションを退職致します」


静かにゆっくり宣言した私に、全員がギョッとしたように大きく目を剥いた。


「なっ……越川さん!?」


秘書室長が、ひっくり返った声で呼びかけてくる。
一度大きく息を吐いて自分を落ち着かせてから、私は室長に目を向けた。


「責任の取り方、これしか考えつかなかったんです。……でも、少なくとも、これ以上私が社長の側にいるべきではないかと思います」


誰も何も言わないのは、私の意見が一番相応しい対応だと、全員が認めていたからだろう。


「……FAXの草稿を、練り直しましょうか」


広報部長が静かにそう言うのを聞いて、私は目を伏せたまま、黙って頷いた。
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