居酒屋を出てからずっと、オフィス街らしく区画整理された通りを、ひたすら一直線に歩き続けている。
いや、歩いているのは優月だけで、私は彼の歩く速度についていけず、ずっと小走りだ。


まさに引っ張り回されている私を、行き交う人たちが興味津々に振り返っている。
週末金曜日のこの時間は、普段の平日の夜に比べて、通行人も多い。
好奇に満ちた視線を気にしていられたのは、最初だけだ。
こうもペースを乱して歩き続けていたら、さすがに息が上がる。
呼吸が乱れ、胸が苦しい。


「ゆ、づ……きっ……!」


何度か呼びかけたけど、優月の耳には届いていないのか。
それとも、無視されているのか。
彼は足を止めるどころか、振り返りもしてくれない。


「ゆづ……苦し……。ね、えっ……!」


とにかく足を止めるか手を離すかしてほしくて、私は振り絞るような声をあげた。
掴まれたままの手を、力任せにブンと振り上げる。


「あ」


私の行動で、やっと優月が短い反応を見せた。
不意を衝けたのか、私は彼の手を振り解くことに成功する。
けれど、勢い余って足が縺れ、そのまま無様にもアスファルトの地面にぺたんと座り込んでしまった。