父と息子
〜第2章〜息子の思いつき
誰の前でも、表情を見せない父に変な思いつきをしてしまった。

父が、感情がちゃんとあると証明する思いつきだ。

我ながら馬鹿な思いつきだと思った。
笑いたいなら笑ってくれてもいい。

ー次の日。
朝食をいつものように黙って食べていいる父に

「父さん。」

久しぶりに僕の方から話しかけてみる。

父さんは、僕から話しかけてきたことに驚いているようだ。
「なんだ。優太。」

だけど、すぐに元の表情に戻った。
ちょっとそんな済ました父の顔が気に食わなかった。

「父さん。
僕…一人暮らししたいんだ。」
そう、僕の思いついた馬鹿なこというのはこのことだ。

馬鹿だと思う。馬鹿だと言われても仕方ないことだ。

だけどこれは、父の本音を聞き出すためだ。
馬鹿な僕には、せいぜいこんなアホなことしか考えられないのだ。

「もうすぐで、って言うかまだ半年あるけど

高校では、自立してすぐに一人暮らししたいんだ。
だから、3年生で早めに慣れるために練習も兼ねて一人暮らしをしたいんだ。

あ、もちろん。一年とかじゃなくて4ヶ月ぐらいとか…。」

自分でも何を言っているのか理解できない。

そもそもシングルファザーなだけで、生活も父親のところにいたほうが楽だし何より快適な生活なのに

そんな快適な空間を捨てて自分で苦労しようなんて普通の男子だった思わないことだろう。

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