ばいばい、津崎。
2: 紺碧―Konpeki





どこからか海の音が聞こえた。テトラポットに打ち付ける波と空を飛び交うカモメの鳴き声。

私は眠りから覚めるように、そっと目を開けた。


お酒を飲みすぎたせいか喉が乾いていて、おまけにものすごく暑い。たしかエアコンをつけっぱなしにして寝たはずなのに。

じわり、と肌にまとわりつく汗が気持ちわるくて、私はベッドから起き上がる。

水を飲みにいこうと、立ち上がるとテーブルの角に思い切り足の小指をぶつけて私は「痛……っ」と、その場にしゃがみこんだ。


……なんで、こんなところにテーブルが?

寝室には基本的にベッドしかないし、テーブルは食事と化粧をする時に使うからリビングに小さいものがあるだけ。

もしかして、酔っぱらいすぎて寝室に持ってきちゃったとか?

いや、そこまで酒癖はわるくないはず。


疑問に思いながらも部屋を見渡して、私は愕然とした。白い壁紙に、床はフローリングではなく畳。

天井の電気からは明かりを付けるための紐がぶら下がっていて、着ている洋服も私服から白いTシャツになっていた。


「……ま、待って、待って。え?」

私は独り言を言いながら、すっかり小指の痛さのことなんて忘れて頭を整理する。
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