金曜日の溺愛にはかなわない(完)
『何お前、終電ないの?』


『はい?充電ならありますけど』



スマホの画面を見せる。



『バカかよ。終電だよ』


『あぁ。はい。大雪でもうないみたいですね』



外で降っている雪は止むことを知らなそう。



『ふーん。じゃあ送ってこなくやるからお前これ切れ』



そうして渡されたアパレル雑誌。



『こんなことやってんですか?』


『まぁな。流行知らないとだろ?』



社長ってやり手だとは思ってたけど、まさかこんなに努力してるとは思ってなくて。
すこしぐらい力になれたらっておもったんだ。


そしたら帰り道。



『お前これから毎週金曜日残業してあれやれ』



ときたもんだ。
それ以降、あたしの華金はなくなったも同然。

だって、帰りは社長の車だし。
なぜか社長の家に連れていかれて料理を作らされることもある。



「あたしは家政婦かっつーの」



ぼそっと呟いたらめっちゃこっちを見てる。

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