優等生と副番長


 教室に戻ると、皆が勉強をしていた。
エリート校でも僕のクラスは特進クラスで、ライバル心の強い人ばかりだ。

僕もその中の一人になるのだけど。
僕はノートを広げて、黒板の文字を写す。

教室にカリカリという音に響く中、僕のシャーペンは止まりがちだった。

 何故か、さっきの女の人が頭に離れなかった。

彼女はきっと、何の試験のない、幼稚舎からの入園だろう。
きっと、何処かのご令嬢とか…


止まりがちだった僕のシャーペンは更に止まっていた。

文字を写すだけだったが、それなりに時間がかかった。

それも不思議な程に。

調べるとまでには行かないと思うが、名前位は知りたいと思った。

こんなことは初めてだった。

特進クラスの僕達は、進級するごとに人数が減っているし、特に会話もなければ挨拶もしない。

それなのに、名前を知りたいなど、何かヘンだなあ…

< 3 / 39 >

この作品をシェア

pagetop