今度産む
因果応報


人生には三回モテ期があるという。
大学三年のオレは間違いなくそのうちの一回だった。

正直いって、調子にのっていた。


当時付き合っていた恋人は付き合って一年。
バイト先で知り合って短大生だった同い年の彼女は一足先に社会の荒波にもまれていた。

だけどそんなことちっともわからない、いやわかってあげようとしなかったオレと彼女はささいなことでケンカをするようになっていた。

ケンカというか、ワガママを彼女に押しつけて困らせてキレていた。
最悪だ。


「そんなの仕事終わってからウチに来ればよくね?」
『うん、そうしたいのは山々なんだけど、まだ私入社したばっかりだから、月曜からの仕事の準備とかしたいし』
「……」
『ごめんね』
「……いいよ別に」

電話越しの彼女が必死に謝ってくれるのに、ふてくされていた。


週末は特に約束したワケじゃなかったけれど、付き合い出した頃からずっと土日のどっちかは会うのが暗黙のルールみたいになっていた。

それが、会社の都合で土曜は新人がほぼ強制的に参加しなきゃいけない飲み会、日曜は休日出勤。
つまり会うのが難しいと告げられたのだ。

学生の頃だったら徹夜明けに学校やバイトに行ったりしてたのに。

急に住む世界が変わったように感じたし、大人になっていく彼女にどこか嫉妬もしていた。
そういうところが余計に彼女の気持ちを遠ざけることもわかっていたのに、おさえられなかった。

そして、自分がモテてることでどこか彼女の気持ちにあぐらをかいていた。


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