海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
私は文字入力もビジネス文書作成も、いつもと同じように完成させる事が出来て、十分な手応えを感じていた。


私と同じく試験を終えた先輩達がぞろぞろと帰っていく中、私は自分が持ってきたワープロを片付け始めた。


「どうだった?」


片付けている途中、隣で全員分の解答をプリントアウトしていた相葉先生が声をかけてきた。


一気にドキッとしてしまって、


「あっ、えっと、出来ました。多分!」


自分の慌てすぎな返事が、余計に私を恥ずかしくさせた。


「いつも通りに出来たならきっと大丈夫だよ。あんなに練習してたんだし。」


そう言って、相葉先生はニコニコしている。


「そうだといいなぁ。あ、先生。このワープロを使わせてくれて、どうもありがとうございました。」


私が自分のワープロを指差しながらお礼を言うと、


「おぉ。また今度の検定も使っていいからね。」


プリントアウトをし終えた相葉先生は、そう言い残して準備室に戻って行った。


ちょうど同じ頃ワープロを片付け終えた私は、教室からひょっこり準備室を覗いて、


「先生、さようならー。」


そう、相葉先生に挨拶をした。


「さようなら。」


相葉先生がこちらに顔を向けて答えてくれたのを見届けると、先生とお別れする事を名残惜しく感じながら、荷物を抱えてパソコン教室を出た。


結果は約1ヵ月後。


手応えがあった分、私はそれをとても心待ちにしていた。
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