海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
お昼休み中にお弁当を食べていると、


「…さく、何か悩んでる?」

「え…?」


突然問い掛けた瑞穂の方に視線を動かすと、斜め前に座る梢も瑞穂と同じように私の事を見つめていた。


「時々今みたいにぼんやりしてるし、溜め息もついてるよ。」


梢に言われて、私はハッとした。


「ごめん、何でもないよ。」


我に返った途端、


『知らない内にすごく失礼な事をしていたのかもしれない。』


そう思えて私は慌てて謝ったのだけれど、二人が私の異変に気付いていない訳がなく、


「嘘。なんか気になってる事があるんじゃない?」

「う…。」


すぐに二人から指摘されて、私は言葉を詰まらせた。



一番に相談できる友達。

なんでも話せて、なんでも聞ける友達。

お互いにそういう関係だと思える瑞穂と梢だからこそ、私は心の中のモヤモヤを二人に打ち明けた。


「前よりも先生の事が好きなのに、会える機会も、話す機会も減って、本当に本当に大好きなのにどうする事も出来なくて…辛い…。」


そんな私の言葉を、二人はうん、うん、と頷きながら聞いていた。


すると瑞穂が、


「思い切って告っちゃえば?」


そう、当たり前のように言ってのけた。


「でも、それで玉砕したら…。」

「けど、自分の想いを伝える事が出来たら少しはスッキリ出来るんじゃない?」


怖気ずく私に瑞穂は畳み掛けた。

確かにスッキリ出来るのかもしれない。

だけど、


「結果で落ち込みそう…。」


私は想像しただけで項垂れた。
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