海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
部屋に閉じこもって泣き続けていた私は、何かをする気力もなく、誰かと話す気さえも失っていた。


ようやく涙が止まった頃、私はクッションから顔を離して、モゾモゾとベッドに潜り込んだ。


柔らかい毛布に温かく包まれると、ほんの少しだけ、心の傷が癒えていくような感じがする。


そして、

“どうしたらいいのか”

“これからどうしたいのか”

そればかりをずっと考えていた。



でも、どんなに色々考えてみても

“私にとって相葉先生が全て”

としか思えない。



勉強を頑張れた事も

先輩の嫌がらせに耐えられた事も

物足りない高校生活で、恋する気持ちが生まれた事も…

その全ては相葉先生がいたからなのだと。



考えれば考える程、

『どうしても相葉先生が好き。』

という気持ちばかりが胸いっぱいに広がる。



『卒業までには時間がある。』

『まだ諦めるには早すぎる。』



その想いから離れられないのなら、私に出来る選択は一つしかない。



『まだ、諦めない。』


それは、沢山泣いて、沢山考えた末の結論だった。


この決意が、どん底まで落ちた気持ちをもう一度奮い立たせたのかもしれない。


もちろん、告白する前のように完全ではないけれど。



温かい毛布にくるまりながら、私は目を閉じた。


思い浮かぶのは相葉先生の笑顔。


恋しくて、目頭が熱くなった。



明日からはまた学校。

新しい1週間が始まる。


それは、相葉先生に振り向いてもらう為に過ごす時間が、もう一度スタートするという事に等しい。


『諦めない。』


相葉先生への想いを貫く決心をした私は、潜り込んでいたベッドから這い出すと、鏡に映る自分の顔を見つめた。


そして、ある決断をした。
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