海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
梢は進学コースを選んでいた。


大学を目指していて、英文科を希望している。


将来は旅行関係の仕事に就きたいらしい。


私たちはクラスが同じでも、コースによっていくつかの教科が変わってくる為、

時々、授業を受ける教室が変わることになる。


例えば就職コースの私達には、珠算や簿記、パソコンなどの商業系の授業が入ってくるけれど、

進学コースにはこういった授業が無く、とにかく理数系などの大学受験に必要な内容の授業が殆どを占めていた。


これからどんな風に私や、瑞穂や梢…そして他のみんなが変わっていくのかは分からないけれど、精一杯やるしかない。


そういう学校生活を迎えていた。


私は慌しく朝食を食べ終えると、顔を洗い、きゅっと髪を結んだ。


可愛く着崩した制服に、明るい色の髪…


たまに他の学校に通う友達を見かけると、とても垢抜けていて羨ましかった。


私が通う学校は校則が厳しく、髪を下ろす事は禁止されていたし、

ましてやカラーなんて出来るわけがない。


スカートの丈、かばん、靴…何もかもが決められていた。


未だにこんな学校があるのかと思うと、ガックリする。


私は、約1時間かけて支度を済ませると、


「行ってきます!」

母にそう声をかけて、元気に家を出た。


「寒っ!」

外に出た途端、予想以上に冷たい空気に触れて、私は肩をすくめた。


季節は春。

けれどまだまだ寒さが残る、そんな春の朝だった。
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