独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


ビルの外へ出てから、いったん足を止め、遼が辺りを見回した。


「……ったく。どこにいる」


呟いたあと、彼はすぐに私を連れて歩き出す。

内ポケットからスマホを取り出し片手で操作しつつも、やはり周りを気にしている。

そんな彼を見つめながら、私はぽつり問いかけた。


「……遼。もしかしてずっと、私のこと探してくれていたの?」


彼は今着ているスーツは、今朝、私が逃げ出した時に見たのと一緒だ。

あれから一度も自宅に帰らず……私の行方を探してくれていたのかもしれない。


「当たり前。見つかって連れ戻される前に、俺が麻莉を見つけださなくちゃって……でも、念のため西沖の家を見張らせたら、お前が車に乗せられたって連絡入るし。焦った。あんなに焦ったの、人生初」

「えっ? 誰か見張らせてたの?」


焦っていたという割には、冷静に手を回してくるあたり、さすがである。

どうしたら良いか分からないまま状況に押し流されてしまっていた私とは大違いだ。

スマホを耳に押し当て、何かを探すように周囲に視線を走らせていた遼が、ふっと、笑みを浮かべた。


「うん。あれにね」


目を向け、驚いてしまう。赤いコンパクト―カーが静かに近づいてきたからだ。


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