難攻不落な彼に口説かれたら
3、危なっかしい彼女 ー 仁side
電車の中で新しいスマホをいじっていると、床に何かがゴトッと落ちる音がした。

床に目を向ければ、それは中村さんのスマホ。

スマホを拾い上げ、彼女に声をかける。

「中村さん、落ち……!」

中村さんの方を見たら、彼女は眠っていて慌てて言葉を飲み込んだ。

病み上がりだったし、おまけに俺に付き合って埼玉まで移動して疲れたのだろう。

こっくりこっくり船を漕いでいる中村さんをじっと見ていると、電車がガタンと揺れて彼女の身体が俺の膝の上に倒れた。

また動くかと思ったが、位置が落ち着いたのか中村さんは俺の膝を枕にして寝る。

敢えて起こさず、そのまま寝かせておく。

少しでも眠った方が休めるだろう。

彼女の体調が気になって額にそっと触れるが、熱がなくて安心した。

それにしても……まつ毛長くて、肌も雪みたいに白いな。
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