溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


「甲斐様が溺愛していらっしゃるペットの方……ですよね。私はてっきり犬や猫かと思っていましたが、まさかこんなに可愛らしい人間の方とは思いませんでした。今日は私に任せてくださいね」

「は、はぁ」


いちおう頷いてみたけど、頭の中は疑問符だらけだ。

なんで、私がペットだって知っているんだろう……さっきの電話では細かいことは話していなかったはずだけど。
しかも、別に私は“溺愛”されているわけでは……。

悶々としている間に大きなケープを掛けられ、さっそく手際のよくハサミを動かす音がした。


「傷んでいる毛先だけ、切っちゃいますね。そのあと一回流して、パーマを掛けましょう」

「はい。……あの」


髪型はプロである店長さんに任せれば何の問題もないだろうけど、私が気になるのはやっぱりペットの件である。


「どうして、知ってるんですか? ……その、私が、ペットだって」


店長さんは一瞬ハサミを止めきょとんと目を瞬かせる。けれどすぐに笑顔に戻り、うれしそうに教えてくれた。


「甲斐様ってば、来店されるとペット……あなたの話ばかりなんです。俺が帰ると飛びついてくるとか、新しい服を買ってあげたら喜んでキスしてきたとか、寒いときはベッドに忍び込んできて一緒に寝るとか……のろけ話ばっかり。いつか見せてくださいねって約束していて、今朝それらしき連絡があったので、やっとお目にかかれるんだって楽しみにしていたんです」


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