黄金のラドゥール
何者
ほぅっとため息がでた。

だが最近のそれとは違う。
もしこのため息に色がついていたなら、バラ色をしているはずだ。

「とてもよくお似合いですわ。」
この日アユールが用意してくれたのは、それは素晴らしい煌めくようなドレスだった。

「まぁ、ほんとにどこまでも肌が白くていらっしゃるんですわね。」微笑むアユールに導かれ、姿見の前に立つ。
まるで別人のような姿が映っていた。
ほぅっとまたもため息がもれてしまう。
「素敵なドレス、、」

淡い黄色の上着は丈が短く、襟元や袖に金糸や細かいビーズのようなもので繊細な刺繍が施されている。それらが見る角度によってキラキラと輝いて美しい。
同色のスカートは、布が幾重にも重ねられ、一輪の花が開いたようにふんわりと仕立てられている。
肩より少し長い髪はきれいにまとめ上げられ、宝石のような髪飾りで留められている。



「今日は何か特別なことがあるの?」
ここへ来てしばらく経つが、毎日どのドレスも素敵だった。だが今日のこれは格段と違っている。
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