【完】こちら王宮学園ロイヤル部

・共に鳴り響く鼓動




◆ Sideルア



──権力者は大概、平等という言葉を知らない。

もしくは、権力を手にするうちに平等という言葉を失っていく。けれど人間は競い合って生きていく醜い生き物だから、平和なんてどこにもない。



ぼくとルノが生まれたのは、八王子の箱庭の中。

八王子は、代々特殊な仕事をしていることが多い。その中でぼくらの父親は、歴代の仕事を手篭めにして、この王宮学園を作り上げた。



政界とも強いつながりを持つ、八王子。

しかもよりによってクォーターという形で海外の血を引き継いだぼくとルノは、散々「王子」と呼ばれてきた。



それはもう、飽きるほどに、何度も。



「ねえ、知ってる?

ルノ様、ピアノのクラシックコンテストで優勝されたんですって」



「ええ、ほんとに?

以前乗馬もお上手だってお聞きしたことがあるけれど、」



八王子という家は特殊であるが、はっきり言って「金持ち」の一言で纏めてしまっていい。

そんな家に生まれた双子のぼくらのうち、評価が良かったのはいつだってルノの方だった。




「八王子家はいいわよねえ。

あんな優秀な跡継ぎがいるんですもの」



「ええ。でも八王子家って確か双子で、」



「でも継ぐのは第一王子でしょう?」



「そうよね。

第二王子は成績が乏しいから表に出してもらえないって噂があるぐらいだもの」



第一王子と、第二王子。

どちらがどちらの呼び名なのかは、言われなくたって分かる。



ルノが第一王子で、ぼくが第二王子。

まるでどこかの国の継承権を持つ存在であるかのようにそう囁かれていたが、その「第一」と「第二」は、決して兄弟順につけられたものではなかった。



出来の、良し悪し。

偶然にもルノの方が兄として生まれていたけれど、出来のいいルノはいつだって「第一」だった。



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