promise
プラネタリウム
クリスマス前なせいか。
放課後の街には制服姿のカップルが沢山見られる。



自分もその一人であることを、優羽に握り締められた手の温もりで実感するわたし。



そんな些細なことがいちいち嬉しくて、思わず優羽の手をギュッと握り返した。



「今日はちょっと、懐かしいとこに行こっか?」



こう言って優羽が連れてきてくれた場所は、確かにわたしを懐かしい気持ちにさせてくれた。



「わたし……小学校の社会見学以来だ」



何年ぶりかに訪れたプラネタリウムに感嘆の声を上げるわたしに、優羽は満足そうに笑いかけて来る。



「ここがよく見えるよ」



優羽に手を引かれて、わ
たしは促されるままに席に着く。



それを見計らったかのように辺りは暗くなり、単調なアナウンスがドーム内に響き始めた。



優羽が案内してくれたよく見える席は、確かに首が痛くならずにドーム中の星が見渡せる。



それに感動したのも束の間。



わたしの中に、また嫌な感情が沸き起こってきた……。



よく見える席を覚えてしまう程、優羽はここへ何度も来てるの?



ここに何人の女の子を座らせてきたの?



わたしは優羽とここに来た、何番目の女の子なの……?



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