私のご主人様Ⅳ
22.本当の優しさ

帰路


「…」

「…」

翌朝、除雪車のけたたましい音に全員が飛び起きてしまった。なんでも、年代物だとか…。

二度寝するには時間はなく、そのまま朝御飯の支度をして、お屋敷に戻る荷造りに追われた。

ここに来たときに乗ってきたハイエースと季龍さんたちが乗ってきた車に別れて乗る。

源之助さんと田部さん、平沢さん、信洋さんが季龍さんたちの乗ってきた車に乗って、あと全員ハイエースだ。

そうして、お昼前には平沢さんの別荘を後にした。

そうして森末さんの運転で走り続けるものの、車内の空気はものすごく重たい。

というのも、季龍さんの機嫌が朝からものすごく悪い。今までで1番悪いくらいに…。

そんなわけで、誰も口を開けない。かれこれ2時間くらい経つけど、一向に空気が良くなる気配はない。

隣に座る季龍さんを気にしつつ、右隣に座る梨々香ちゃんと顔を見合わせたのは何回目だろう。

早く降りないかなと過ぎていく休憩所を見つめたのは何回だろう…。
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